観察99日目。
君と過ごす時間はいつもすぐに過ぎて行く。
もう少しだけ、などと思っているのに
もっと時間が長ければ、と願う僕もいるのだ。
結局君といる間は僕の決心など簡単に揺らいでしまう。
だから君といる時間を減らしたつもりなのだが、
意味はあまりない上にたった数ヶ月じゃ足りない。
外もすっかり暗くなってしまって、
もうすぐ夕食の時間近くだ。
「そろそろ夕飯だし、駅まで送って行くよ」
と切り出したのだが、君は僕の作る夕食を食べたいと
我儘を言い出した。
「家で母さんが用意してくれてる筈だから駄目だよ」
そう諭すと、より一層頬をぷっくりと膨らませて怒る。
嫌だ、帰りたくないと駄々をこねる君に、
「ほら、帰るぞ」
手を差し伸べると君は諦めたかのように
無造作に僕の腕にしがみ付き
「…いなくなって初めて気がついた事があるの」
なんて言うから少し心拍数が上がるのを感じつつ
「何に?」と聞いた。
「私、結構淋しがり屋で超ブラコンだって事‼︎」
ぺろりと下を出して恥ずかしそうに少し大きな声で言った。