観察96日目。
他愛の話を二時間、猫達に囲まれながらした。
本当にあっという間に時間が来て、猫カフェを後にする。
店を出てからも君の口の動きは止まらない。
僕はそんな君を可愛いと思いながらずっと見ていた。
「次、お家行こうよ!」
出た、言われたくなかった台詞。
でも言うのだろうなとは分かっていた。
僕が君を部屋に迎えるのは、これが最初で最後だと決めている。
どうせ来春には引っ越すのだ。
もう諦めて自宅へと招く為にした。
途中コンビニで買い物をして僕の自宅へと向かう。
後3ヶ月もしたら、この東京から北へと遠く離れる。
でも、まだ君には言っていない。
ギリギリまで伝えるつもりもない。
そしてこの気持ちも、だ。
だが、そんな気持ちとは裏腹に緊張している。
告白する訳でもないのに、さっきから上の空だ。
僕は時々自分が分からなくなる。
決めていた事を守れない位、自制が効かなくなるのが怖い。
それほどに感情という生き物と常に戦っているのだ。